神奈川の開港に伴い、主にアメリカ人宣教師達が日本を訪れ、子女教育に力を注ぎミッションスクールの基礎を築いて行きます。その流れの中で、東京A六番女学校が1870年(明治3年)に開校し、後に、この女学校の流れを引き継ぐ桜井女学校が附属幼稚園を1879年より始めていました。この幼稚園の園規則の中に記されている保育の目標は
と掲げられています。これは、今もなお、キリスト教保育の目標として受け継がれています。1956年創立以来、生涯にわたる人間形成の基礎となる大切な幼児期に、神に愛され人に愛される子ども達の体の発達、心の発達、知的な発達を支えていきます。遊びの中から自然に身につける友達同士のかかわりを大切に育て、ありのままの姿を受け入れ、お互いの“いのち”を尊重しながら、それぞれ違う賜物が与えられた一人一人が、今を生き生きと生活できる保育環境を大切にしています。
1981年建築の鉄筋コンクリート3階建の園舎からは、井田山の緑を臨むことができ、また園庭は木々の緑や四季折々の草花に囲まれています。そして、創立50周年記念に設置された 園庭の木製遊具は、子ども達の発達を考慮したオリジナル遊具です。さらに2014年からは木製遊具南側に園庭を拡大しました。2015年には、園庭の土壌整備工事を済ませ、安心して遊ぶことができる環境が整いました。
元住吉こばと幼稚園は、創立者(三宅朝吉先生・君恵先生)の家庭の中から始まった幼稚園です。この出発点を大切にし、一人ひとりの子どもが、家庭と同じように、のびのびゆったりと安心して幼稚園生活ができるように、心を合わせて保育をしています。
最近は早期教育や成果主義の教育の情報が多く、何を選べばよいか悩まれている保護者の方も少なくないと思われます。しかも少子化で地域の子どもたちが遊ぶ集団が無くなってきています。感動する心やがんばる力というのは豊かな経験や体験を通して生まれます。遊びの中で様々な学びがあるのです。その経験や体験はけっして大人から一方的に与えられるものではありません。子どもたちが主体的に遊びこむことにより達成感や満足感が生まれます。それに保育者が寄り添って、方向づけして、働きかけていくことが大切と考えています。保育者が子どもたち一人ひとりに対してまなざし(=その子に対する思い)をもって見つめていくことが幼児教育の基本です。元住吉こばと幼稚園ではこの点をとても大切に捉えています。
幼児期、大人から見た子どもは、まだ未熟で、たくさんの事を教えないと一人前になれないと考えてしまいます。そのために、教育は、将来の準備のためと傾いてしまいます。しかし、元住吉こばと幼稚園では、将来のためだけでなく、今のこの時に喜びを持って生きることを大切にしています。「今」を重ねていくことが将来の「今」につながります。3歳児は3歳児なりに、4歳児は4歳児なりに、5歳児は5歳児なりに、現在の生活を十分に楽しみ生かすことが 大切です。子どもの一日一日を、大切に積み重ねて行く保育を目指しています。
2018年に幼稚園教育要領の改訂があり、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿~①健康な体、②自立心、③協同性、④道徳性・規範意識の芽生え、⑤社会生活との関わり、⑥思考力の芽生え、⑦自然との関わり・生命尊重、⑧数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚、⑨言葉による伝え合い、⑩豊かな感性と表現~が明確になりました。 但し、これらはけっして到達目標ではなく、子どもの自発的な遊びを中心とした幼児教育の中で育っていくものと考えています。そして元住吉こばと幼稚園では神さまの愛の中で、一人ひとりの存在を大切にし、互いが隣人となりつつ、平和をつくり出す人間を育成することを目指しています。
園庭には、創立当初から植えられている桐の大木や、サクラの木、アオギリ、夏ミカンの木、レモンの木、杏の木、スモモの木などが植えられ、収穫をして一緒に頂くこともあります。
一日の保育の終わりに、絵本の読み聞かせをする時間を大切にしています。また、毎週水曜日には、図書係の保護者の助けによって2019年現在1,940冊所蔵の絵本の部屋から園児絵本2冊(うち紙芝居1冊)保護者5冊を借りることが出来ます。長期休みには一人5冊の絵本を貸し出しています。
三宅宣幸理事長(日本基督教団 元住吉教会 牧師) 毎月第3金曜日開催、月ごとの聖書の言葉を身近な教育のヒントになるように、わかりやすく解説します。